2009年01月12日

Goodbye Yellow Magic Submarine (07)

 冷静すぎると思える程、瞬きすら忘れ、僕の、と思える視点の移動に伴い、僕は、あらゆる角度から、なにかに取り憑かれたように激しく身悶えしながら動き回る少年の姿を捉え続けるのだった。
 眩い光が満ちあふれた、ガラスと鏡に囲まれた部屋の中で、少年の体は勢いよく弾け跳び、空中で大きく股を広げると、そのままの姿勢で輝く鏡の床へと着地する。
 少年の頚椎はバネ仕掛けのようにいつまでもゆらゆらと柔らかく左右に揺れ、大きく開かれた両足はゆっくりと閉じられる。
 そして、瞬時に、少年は輝く鏡の床の上に硬直した体を直立させている。
 少年のみせる動きは、まるで高度の技術をもった人形使いに操られるマリオネットのようだ。
 そうするうち、僕はやっと気付いた。
 どこからか、あの男共が発する不思議なパルス−−−この頃には、僕にも、このパルスが少年と男共との間で、細かな取り決めが交わされ、使用されている、ある種、信号音のようなものであると感じていた−−−に合わせて、許された運動能力をはるかに超えた方法で、激しく踊り続ける、この少年の体に少しの汗も浮かんでいないことを。
 それどころか、いくら注意力を集中したところで、この少年から発せられなければならない、僕に聞こえてこなければならないはずの呼吸音を捉えることができないのだ。
 そうだ、少年の体から汗は発せられず、呼吸すらしていない。
 驚きと、同時に襲う、とてもやりきれない気分。
 しっぺ返しの裏切り。
 どこか暗く、黴臭くてすこし冷ややかな空気に満ちた場所で、巨大な肉塊で不意に後頭部を殴られたような感じ。
 畜生。約束が違う。違う。違うじゃないか。

To be continued.

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posted by mac326 at 12:13| 🌁| Comment(0) | GYMS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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