2010年01月10日

Goodbye Yellow Magic Submarine(14)

少年・少女たちの歓声は一段と高まり、五番目の男が、やっと、その姿を巨大な黄色い箱の中から現した。
リーダー格と思えるこの男も、他の四人がそうして見せたように、いかにも気怠げに、箱の中から抜け出すと、巨大な旧式マイクロフォンを前にして、正面を向き、横一列で整列した四人の男共の真ん中へと入り込む。
いま、銀色に輝く巨大な旧式マイクロフォンを前方に仰ぎ、五人の男共は横一列となってきれいに並んでいる。
僕はプログラムし、そして軽くボタンに触れる。
心地よい音が僕の周りで連続して起こり、スピーディーな一連の動作が繰り返される。
彼ら五人の男共は、揃いの黄色い旧式の放射能防禦服―――あるいは、単に特殊樹脂で強化された簡易作業服かなにかかも知れないが、表面が濡れたように滑らかに輝き、上下続きとなっただぶつき気味のスーツだ―――を着込み、これも旧式の強化ガラス製ゴーグルと酸素吸入装置とが一緒になった物々しいマスクをつけている。
男共は、一様に腕を後ろに組み、幾分胸を張った直立不動の、滑稽にさえ見える姿勢でもって、何かを待っている。
やがて、着色されたスポットライトの光はひとつずつ順に消され、いま、五人の男共の姿はステージに備え付けられた小さな照明装置からの光だけで浮かびあがっている。

To be continued.



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2010年01月09日

Goodby Yellow Magic Submarine (13)

歓喜の叫び。それに続くざわめき。
それは衝撃波となって瞬時に広がり、「エリア=豪壱=」の隅々にまで伝わる。
ステージ中央の箱を中心として両側に置かれた二つの巨大な箱の蓋が、ゆっくりと内側から押し上げられ、中から先程見た男共がゼンマイ仕掛けのおもちゃのようにギクシャクとした動作でもって登場する。
その巨大な箱の中から姿を現した四人の男共に向けて、会場を埋め尽くした少年・少女たちから最大の歓声が沸き上がり、指笛と紙テープ、そして、色とりどりの風船が浴びせ掛けられる。
大勢の少年・少女たちのそうした熱狂的な歓迎にも、四人の男共は少しの反応も示すことなく、表情すら変えなかった。
凄まじい歓声の中を、四人の男共はぎこちない足取りでゆっくり歩み始め、ステージ中央に置かれた黄色い巨大な箱の前に、会場の大勢の少年・少女たちに背を向け、整列を始める。
男共のうちの最後の一人が、右上半身に怒った細かな震えを封じ込めるようにしてやっと制止し、四人の男共がすべて整列し終えると、黄色い巨大な箱の蓋も、ゆっくりと内部から押し上げられ、中から巨大なマイクロフォンの頭部がその姿を現す。
冷たく、銀色の鈍い光を放ち、不気味に輝く巨大なマイクロフォン。
四人の男共はギクシャクとはしているが、手慣れた動作でその巨大なマイクロフォンを箱の中から取り出す。
そして、それをゆっくりとステージ中央の最先端に運び、備え付ける。
マイクロフォンは、ずうっと昔の1950年代のとてつもなく旧式のもので、高さが6メートル以上もありそうな巨大なレプリカだった。

To be continued.


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posted by mac326 at 20:07| ☁| Comment(1) | GYMS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月08日

Goodby Yellow Magic Submarine (12)

 そして、「エリア =豪壱= 」を埋め尽くした大勢の少年・少女たちのあげた大歓声は、徐々に、何かを期待し、待ちわびる時の漠然とした音が集まり、交わりあったぼんやりとしたざわめきへとゆっくり形を変えてゆく。
とても長く感じられる時の流れ。
広い空間の中で、息を潜め、瞼をしっかり見開き、ぢっと、何かを期待し、待ちわびる大勢の少年・少女たち。
息のつまるような長い瞬間が、いつまでも続くように感じられ始めた、次の瞬間、幾重にも重くたちこめる空気の層のはるか上方から、あざやかな万華鏡のように澄んだシンセサイザーの細やかに変化する振動音とギターシンセサイザーの太く唸るように絞り出される音だけで構成された静かで穏やかな音楽が流れ始める。
それは、まるで大河となる前の水が集まり始める最初の流れのように、緩やかな流れとなって、僕の内部を静かに通過し始める。
ゆっくりと僕を揺さぶり、ゆっくりと僕を麻痺させ、僕の内部を静かに通過してゆく。


To be continued.


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posted by mac326 at 22:37| ☁| Comment(14) | GYMS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月25日

Goodbye Yellow Magic Submarine (11)

 それは、巨大な光の束だった。
 そいつがやって来て、僕が見つめ続けていた真っ暗な闇を一瞬にして消し去った。
 巨大なスポットライトの光りが右から、左から、そして、真後ろからも発せられ、つい先程まで、少年のいたあたりを照らし出している。
 そして、どこか遠くの雲間から、ゆっくりと近づいてくる遠雷のような低いうなり。
 それが響き始めると同時に、膨れ上がるように大歓声が沸き上がり、僕をすっぽりと包み込む。
 これまでステージ全面を蔽うように設置されていた巨大なスクリーンは消え去り、赤・青・黄色のスポットライトがステージ上に置かれた巨大な箱を照らし出している。
 照らし出された巨大な箱。
 赤・青・黄色で色分けされた三つの巨大な箱は、いぶされ鈍い光を放つ鋼鉄で枠組みされとても頑丈そうに見える。
 人影のないステージの上に三つの巨大な箱だけが並び、赤・青・黄色に着色された三本のスポットライトがその巨大な箱を浮かび上がらせる。

To be continued.

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2009年01月17日

Goodbye Yellow Magic Submarine (10)

 ドーム全体から発散される、薄い黄色の光が、鮮やかにそのマークを浮かび上がらせ、光り輝く無数のネオンライトが点滅を続けている。
 闇の中にゆったりと浮かび、眩い光を放ち続けるクリスタルドーム。
 僕の、と思われる視点は、そこからも異常なスピードをもって遠ざかり続け、やがて、すべてが、あの少年も、彼を閉じ込めたガラスと鏡のキューブも、数えきれないキューブが接合された集合体も、そのキューブの集合体を覆った巨大なクリスタル製ドームさえも闇の中に溶け込んでゆこうとしている。
 あの少年のいた場所からなおも離れ続ける、僕の、と思われる視点。
 いまでは、ただ、すべてが真っ暗な闇に包み込まれた静かな空間を捉えているだけだ。
 とても静かで真っ暗な場所。
 いまはもう、あの男共から発せられていた音も消えてしまっているし、僕の目にいらだたしく跳ね返った眩い光の拡散もなくなってしまった。
 ただ、なにかの摩擦音のようなもの、シューだとか、ジューだとか、スゥーだとか、ズゥーだとか、そんな得体の知れぬ不思議な音だけが、僕の耳朶を何故か、心地よく撫でてゆく。
 このどこまでも続く闇の中で、僕の、と思われる視点が、少年のいた場所を離れているのか、あるいは、ふたたび、ゆっくりとあの場所へと接近しているのかさえ、もう感じることはできない。
 ただ、僕は、目蓋を開けたまま、じっと、真っ暗な闇の空間を見つめ続けている。
 見つめさせられている。
 僕は、ただそうしている。
 僕は、ただそうさせられているだけだった。

To be continued.


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posted by mac326 at 13:26| ☁| Comment(8) | GYMS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月16日

Goodbye Yellow Magic Submarine (09)

いま、透明なガラスの部屋が接合した、巨大なガラスと鏡でできたキューブの集合体が無数の電飾光線を孕んで浮かび上がる。
 もっと、もっと加速度を増して、遠ざかってゆく、僕の、と思われる視点。
 もはや、少年の姿は幻惑の光の渦へと巻き込まれ、僕には見えなくなっている。
 いま、僕の目に映るのは、数限りなく、光り輝く同型のガラスと鏡でできた部屋が接合された巨大なキューブの集合体。
 それが、僕の、と思われる視野の端から端までをいっぱいに覆い尽くす。
 なおもスピードをあげ、そこから遠ざかってゆく僕の、と思われる視点。
 数限りなく並んだ光り輝くガラスのキューブも段々と小さくなってゆく。
 そして、僕の、と思われる視野の中には、右の端からゆっくりと暗い空間が見え始める。
 やがて、僕の視野を被う暗い空間の中にガラスのキューブの集合体を覆う巨大なクリスタル製ドームが浮かび上がってくる。
 すべての光りを吸収しながら、すべての音を反射しながら、クリスタル製ドームは滑らかに光り輝く。
 ドームの頂点になにかが見え始める。
 なんだろう。なにが見えてくるのだろうか。
 ゆっくりと舐めるようにして、ドームの表面に沿って移動始める、僕の、と思われる視点。
 やがて、僕に見え始めるのは、黒色とオレンジ色で構成されたイルミネーション。
 クリスタル製ドームの頂点に描かれたオレンジ色のちいさな円、そして、それを囲むように配置された60度角の三つの扇型、それらのまわりを黒色で塗り潰された円形の大きなイルミネーション。
 小さなころから見慣れた鮮やかに目に飛び込むあのマーク。

To be continued.

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posted by mac326 at 18:31| ☁| Comment(0) | GYMS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月13日

Goodbye Yellow Magic Submarine (08)

 僕がもっと少年を注視したいと思い始めるのとほとんど同時に、僕の、と思われる視点は、僕自信の意志とは関わりなく、全く違った方向にゆっくりと動き始める。
 これまで、しばらくの間、少年にピッタリと接近していた、僕の、と思われる視点は、彼のいる場所から徐々に遠ざかり始めるのだった。
 少年の体は段々と小さくなってゆき、やがて彼の置かれている、四方をガラスで囲まれた奇妙な部屋の全体も明らかになってくる。
 眩いばかりの数多くのイルミネーションが冷たいガラスの内部で屈折、偏光し、鏡の床に反射して散りばめられる。
 限りない電飾光線が、果てしない屈折と反射とを繰り返しながら、僕の方へ、僕の内部と思われる場所へ、中心部を探すように侵入を続け、男共がつくりだす不協和音がそれを歪め、分解させる。
 やめろ、やめろ。やめてくれ。
 そんなことにはお構いなしに、僕の、と思われる視点はなおも加速し、その場所から遠ざかり続ける。
 そして、その途中で少年の置かれた場所の全貌が見えてくる。
 それは、ガラスと鏡のキューブ状の部屋が無数に接合された巨大な集合体。
 眩い光に包まれたガラスと鏡のキューブの巨大な集合体。
 そんなガラスの空間に、少年は黒い布で目隠しされ、猿轡のうえからガムテーブで口を塞がれ、閉じ込められていたのだ。


To be continued.


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posted by mac326 at 07:24| 🌁| Comment(0) | GYMS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月12日

Goodbye Yellow Magic Submarine (07)

 冷静すぎると思える程、瞬きすら忘れ、僕の、と思える視点の移動に伴い、僕は、あらゆる角度から、なにかに取り憑かれたように激しく身悶えしながら動き回る少年の姿を捉え続けるのだった。
 眩い光が満ちあふれた、ガラスと鏡に囲まれた部屋の中で、少年の体は勢いよく弾け跳び、空中で大きく股を広げると、そのままの姿勢で輝く鏡の床へと着地する。
 少年の頚椎はバネ仕掛けのようにいつまでもゆらゆらと柔らかく左右に揺れ、大きく開かれた両足はゆっくりと閉じられる。
 そして、瞬時に、少年は輝く鏡の床の上に硬直した体を直立させている。
 少年のみせる動きは、まるで高度の技術をもった人形使いに操られるマリオネットのようだ。
 そうするうち、僕はやっと気付いた。
 どこからか、あの男共が発する不思議なパルス−−−この頃には、僕にも、このパルスが少年と男共との間で、細かな取り決めが交わされ、使用されている、ある種、信号音のようなものであると感じていた−−−に合わせて、許された運動能力をはるかに超えた方法で、激しく踊り続ける、この少年の体に少しの汗も浮かんでいないことを。
 それどころか、いくら注意力を集中したところで、この少年から発せられなければならない、僕に聞こえてこなければならないはずの呼吸音を捉えることができないのだ。
 そうだ、少年の体から汗は発せられず、呼吸すらしていない。
 驚きと、同時に襲う、とてもやりきれない気分。
 しっぺ返しの裏切り。
 どこか暗く、黴臭くてすこし冷ややかな空気に満ちた場所で、巨大な肉塊で不意に後頭部を殴られたような感じ。
 畜生。約束が違う。違う。違うじゃないか。

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posted by mac326 at 12:13| 🌁| Comment(0) | GYMS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月11日

Goodbye Yellow Magic Submarine (06)

 少年は、黒い布で目隠しされ、猿轡をはめられた口はガムテープで塞がれたままだ。
少年の激しい動きが続けられている間も、ずうっと、彼と僕のつくる位置関係は変化している。ある時には、真上から、そして真横あるいは斜後方から、仕舞いには−−−とても、信じてもらえそうにないが、これは本当のことだ−−−彼の内部としか考えられない場所から、彼の姿を捉えていた。僕は、自分の意志とは無関係に変化する、僕の、と思える視点から、あらゆる角度の少年の姿を眺める。いいや、眺めさせられているのだった。
 人間が聴くことができる最高限度付近と思われる異常な高音が、これでもか、これでもかといった感じで、執拗に連続して発せられてくる。少年は、それに対して、明らかな反応を示し、その動きは一層激しく、しかもギクシャクした感じになってゆく。少年の体は、バネ仕掛けのように細かな振動を繰り返し、時折、思い付いたかのように跳ね上がる。そうかと思うと、次の瞬間、少年の体からはすべての緊張感が失われ、筋肉と骨格とがグニャグニャに変形し、まるで新種の軟体生物かのように滑らかな鏡の床をうねり始めるのだった。
 少年の体は、目紛しくその表情を変え、僕はといえば、彼の姿をあらゆる角度から、じっと眺め続けている。
 眺め続けさせられている。

To be continued.

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posted by mac326 at 11:55| 🌁| Comment(15) | GYMS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月10日

Goodbye Yellow Magic Submarine (05)

 そして、それが男共により、綿密に計算され、なんらかの目的を持って、意図的に発せられているに違いないと感じ始めていた。いま、目隠しされ口を塞がれた少年と僕の体は、すっぽりと不協和音の洪水が飲み込まれ、時折、パルスにより強い刺激が与えられている。そんな中で、少年の体は除々に硬直度を増し、手足の震えは増々大きくなってゆき、時折、ピョンピョンと不規則な間隔で跳び跳ね始める。
 僕は、そんな少年の姿を瞬きも忘れ、眺め続けている。この少年も踊っている。先程までいた大勢の少年・少女たちと同じようにこの少年も踊っているのだ。踊る。少年は狂い始めた機械のように踊っている。そして、ヘドを吐き出しそうになるくらい不快で耳障りだった不協和音は、いつしか僕の中に柔らかく溶け込み始めている。
 こうしている間にも、少年の踊りは一層激しさを増している。少年は、床に立つこともままならないといった具合に、大きく後ろに反り返ったと思うと、奇妙な形で前方に収縮し、宙に弾けるように転がり出すといった具合だ。
 まるで、壊れたおもちゃのように、あるいは、呪術よってのたうち回る狂人のように、彼の筋肉はばらばらにされ、それぞれが勝手気ままに動きだしているかのようだ。少年は、幾度となく執拗にその体を冷たいガラスの壁に打ちつけ、眩い光の氾濫する鏡の床にその姿が弾ける。

To be continued.


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posted by mac326 at 14:12| 🌁| Comment(0) | GYMS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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